庭石には石を据えたとき目に見える部分ごとに定まった名称があります。(地方によって名称の相違がありますが)
一般的に、庭石の据え方には「山天」と「平天」があります。
山天は文字通り石の角の部分を頂点にする据え方で、平天は平らな面を上に向け、その面を水平にする据え方です。
庭石を据える前に、まず据えようとする石の形や石理をよく見て、どのように据えたら、その石を最大限に生かし美しく据えることができるかをイメージすることが大切です。
どの部分を天端にして、どこを見つきとするか、どれくらいの高さに据えるか、ということです。
そして、実際に据える際に最も基本になることは、どっしりと安定感がでるように据えることです。根入れをなるべく深くして、末広がりに石が大きく見えるよう据えなければいけません。
“根が切れる”すなわち根入れが浅すぎると、石が浮いたように見え、実に不安定で、かつ 石が小さく見えてしまいます。
深く掘るのが面倒だったり、少しでも石を大きく見せようとして“根が切れる”と、見た目には不安定で大きく見えません。末広がりに据えることで、岩の一部が地表に頭を出しているように見せ、実際の大きさより大きく見せることが出来ます。
なお、どう据えても根がきれてしまったり、あごなどの石の欠点が見えてしまう場合は、その部分に添え石をあてがったり、下草などを添えて隠すようにします。
× 悪い据え方 |
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× 悪い例
2個の石を組み合わせる場合、二石が対等の関係になることも稀にありますが、一般的には大きさ、形の異なる石を選び、主従関係を持たせるように据えます。大ぶりな方を主として、小さい方を従として添えるようにします。
また個々の石にはそれぞれ“気勢”があります。気勢とは石の形や大きさ、石理などから生まれる勢いです。
石を見たときに感じる力の方向性が、目に見えない線となって空中に出ているようなものである。石を組む際にはこの気勢を無視してはならない。
例えば左上に気勢のある主石を据えたら、その石の左方に、右上に気勢をもった石を据えます。そうすると力と力が互いに支え合うような均衡が生まれ、安定感のある石組みとなります。
大きさ、形の異なる3個の石を組み合わせるもので、二石組とともに石組の基本単位となります。 主の役割をもつ石と従の役割をもつ石、その二石をさらに調和させ均衡を保つために添える石、以上の三石をもって組むのが三石組の基本です。
また、立体的に見て各石の頂点が、平面的に見て 各石の中心点が、それぞれ不等辺三角形になるように組むことが大切です。
なお、三石組も同様に各石の気勢をよく見て、バランスよく組むように心掛けます。
五石、七石・・・と多数の石を組む場合でも、一石,二石組,三石組を基本単位として、組み合わせることによってまとめられます。
例えば五石組の場合は、「3・2」,「3・1・1」,「2・2・1」など、七石組では「3.3.1」,「3.2.2.」などの組み合わせが考えられます。
庭はこうした複数の石組みの集合体であるといえます。
庭を構成するこうした要素の気勢が強ければダイナミックな庭になり、おとなしく均一的な気勢をもっていれば、安定感のある落ち着いた庭になります。