石積みは、土留めを兼ねた外壁などによく用いられます。通常、法面勾配が45度より急なものを石積みといい、それよりも緩やかなものは敷石や石張りと呼ぶことになります。
石積みは、まず第一に絶対に崩れてはならないという安全性が重要です。かつ、石一つ一つの表情を生かして、景観的な美しさをつくり出さなくてはならないので、かなり熟練を要する技術といえます。
石積みの施工法には「練積み」と「空積み」があります。
練積みは裏込めにコンクリートやモルタルを使用して石を積み上げていく方法で、構造上は重量擁壁の一種とされ安定度が高く5メートルくらいの高さまでは積んでもよい。
なお、雨水などで土圧が増大して石が崩れないように、水抜き穴を設けなくてはならない。
空積みは、裏込めにコンクリートやモルタルを使わずに、割栗石や砂利を用いて石を積み上げる方法です。
練積みに比べ脆弱であまり高く積んではならない。「建築基準法施行令」の規定では、高さが2メートルを越える石積みは、練積みでないと認められない。
石材を横方向に並べて据え、横目地が通るように積み揃えられた石積み。
石材の大きさや形が不揃いの石を使った石積み。横目地が通らない。
石材を斜めに使った石積み。 下石がつくる谷へ上石をはめ込むように積む方法。
石積みは、使用する石材の石質や形状により、いくつかの種類に分けられます。
大ぶりな自然石を用い、面が不規則に乱れるようにする積み方で、古くから行われてきた伝統的な造園的な積み方です。
山から崩れてきた岩が積み重なるような、非常に野趣な風情を表現する。空積みとするのが一般的です。
崩れ積みは、他の石積みとは全く異なった原理で築かれていて、上段の石が下段の石の裏から覆い被さるように積み上げられ、下部の石や側方の石と石裏の土圧によって安定する構造となっています。
鉄平石、丹波石、根府川石などの厚みのある板状の石や横長の石を用いて、コンクリート構造物などの前面に積み重ねた石積みです。
積み方は、目地となる部分にモルタルを施しながら、石材の小端を正面に出して水平に積み重ねていきます。左右の石はモルタルを見せずにそのまま突付けにするのが普通です。
材料の厚薄の違いにより、積み方に目地が規則的な「整層積み」と不規則な「乱層積み」があります。
自然石を用いて、その石肌の風合いを生かし、面を一様に揃えた積み方です。
一番下の根石は安定感をもって据え、その上に胴石(間に積む石)、さらに角の直角な石を天端に積みます。
一つ一つの石は、それぞれに荷重をかけ、またかけられているので、その荷重は一石に集中することなく、二石、三石と分散させると安定します。
また、合端の合わせ方にも十分注意し、目地が美しく仕上がるように工夫する必要があります。
日本工業規格(JIS)により規定された角錐型に加工した方形の石材、間知石を用いた石積みです。
石を斜めに使った「谷積み」と、水平に使った「布積み」がある。一般的には練積みとします。
間知石とは、面がほぼ方形で控えが四方落としで、面に直角に測った控えの長さは、面の最小辺の1.5倍以上の石材。控えが二方落としで、控えの長さが1.2倍以上の石材は割石といいます。
安土桃山時代に近江の
野面石積みでは石の一番広い面(大面)を表に使って積み上げていくのに対し、穴太積みは、石の側面の小口または小端の「小面」と呼ばれる部分を使って積み上げていきます。
石の控えを長くとるので、石垣の強度が増し、高く積み上げることができたのです。
日本庭園で見られる石積みは自然石をほとんど加工せずに積むのが一般的ですが、日本の城に見られる石垣には石材の加工具合によって「
時代的には、野面積から打込ハギ、切込ハギへという流れでありました。
自然石をあまり加工せずに積み上げた石垣です。
粗割石の接合部を加工して石材間の隙間を減らし、その隙間に丁寧に間詰石を詰めた石垣です。
石材を徹底的に加工し、石材間の隙間をなくした石垣です。