日本庭園の四大構成要素
1.水
水は生命の源であり、またすべての物を洗い清めることから、俗世間の邪悪から神聖の地を区画する手段として用いられていました。
また、儀式・遊行の場としても使われました。
- 飛鳥・奈良時代の古代庭園 曲水の宴
- 池泉舟遊式庭園
2.石
古代日本には、山や海の天然の石に、神が宿る、あるいは神が降臨するという信仰がありました。
神がのりうつる石を,磐座、神のいる神聖な場所を囲むように並べる石を磐境といいます。
日本に庭園文化が生まれ、多くの石を組む事によって、庭の景観を造っていくようになります。
飛鳥時代には、中国大陸から神仙蓬莱思想が伝わり、池泉に神仙島を造ることにより、自らの不老不死や長寿を願いました。
その後、神仙蓬莱思想は、日本庭園に多く生かされ、各地の庭園で蓬莱島や鶴島・亀島が造られるようになりました。
石は永遠性のシンボルでもあります。
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石組みの種類 』,『
庭 石 』を御参照して下さい。
3.植栽
石が永遠性のシンボルに対し、 植物は、四季とともに成長して、やがては枯死してゆく「生き物」であります。
西洋の庭園が草花などの色彩を 中心にデザインされるに対し、中世の禅宗寺院の枯山水や露地では、緑や紅葉以外の色彩は意図的に抑えられてきました。
造園では、庭に景観、美観をもたせるために樹木を植栽しますが、同時に樹木のもつ機能を生かして植栽することもあります。
使いかたによっては、境界・遮蔽・防風・防音・防火・防潮・減暑効果など、さまざまな機能を持たせる事が出来ます。
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植栽の手法 』,『
庭 木 』を御参照して下さい。
4.景物
- 飛石,敷石
- 歩行のときに、土や雨の雫などで、着物や草履が汚れないように、庭に打たれたもの。実用的な「用」と観賞的な「美」のため用いられます。
複数の石を短冊形にまとめたものを「敷石」,「延段」、ひとつひとつ打たれている物を「飛石」といいます。(『真の飛石』,『行の飛石』,『草の飛石』とも言う。)
- 燈籠
- 石灯籠の起源は本来仏教の献灯にあると考えられています。それがまず照明と添景のため、露地に取り入られるようになりました。
茶庭から始まった石燈籠は、やがて他の様式の庭にも用いられるようになり、「用と美」の兼用で用いられていた物が、書院式庭園のように単なる装飾物として使われるようにもなりました。
石灯籠は「立燈籠」,「生込み燈籠」,「置燈籠」に大別されます。
- 手水鉢
- 水浴みによって身体の汚れを洗い清めると同時に、心の罪やけがれをも祓うことができるとするミソギを簡略化させた形の手水鉢は、寺社によく備えられています。
この、手を清め口をすすぐための手水鉢が庭の中に持ち込まれるようになったのは、石灯篭の場合と同じように、やはり茶の湯の関係からと考えられています。
手水鉢には、古い石塔や燈篭などの部分を流用して水穴を掘り手水鉢にした『見立物手水鉢』と、最初から各茶庭や庭園に合わせて設計された手水鉢『創作形手水鉢』、天然の石に水穴を掘った『自然石手水鉢』、神社や寺院に参拝用に置かれているような『社寺形手水鉢』があります。
- 竹垣
- 竹垣には、背後の景を見せる透かし垣(『四つ目垣』,『光悦寺垣』など)と、目隠しに使う遮蔽垣(『建仁寺垣』,『沼津垣』など)に大別されます。
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Elements 』の各項目を御参照して下さい。